モダンなデザイン家具と言えば北欧家具と答える方も多いですよね。ウッドを主体としながらも、スチールや樹脂も巧みに取り入れたデザインチェアが多いのも北欧家具の魅力です。
そんな北欧モダンの中でも数々の名作チェアを世に送り出したブランドがデンマークの家具ブランド「フリッツハンセン社」になります。
そこで今回は北欧モダン家具ブランド、フリッツハンセン社の名作チェアについてご紹介していきます。
歴史に裏打ちされたデザインと機能性についてご紹介していきますので、是非参考にご覧下さいね。
家具メーカーとして脚光を浴びる
フリッツハンセン社は、1872年に若き創業家フリッツ・ハンセン氏が通商権を獲得する事から始まりました。その後家具の製造会社をコペンハーゲンの中央部に設立します。
設立後次第に市内の大学や図書館などさまざまなプロジェクトに携わるようになり、「品質の高い家具を製造するメーカー」として評判の家具メーカーとなっていました。
独自の曲げ木技術を開発
これはひとつの事実ですが、多くのチェアを製作する会社の共通点として「いかにして木を曲げるか」という方法を実践したメーカーが大企業となっています。
フリッツハンセン社では2代目クリスチャン・E・ハンセン氏が1930年代、蒸気による曲げ木の技術を開発しました。
その後新たな技術を積極的に採用し第二次世界大戦で生まれた新たな曲げ木技術「整形合板」を採用します。
スカンジナビアスタイルの確立
フリッツハンセン社ではこの当時ドイツのバウハウスで生まれたモダニズムの思想に基づき独自のデザインを開発していきます。
軽さと実用性を兼ねたチェアを中心とした特徴的なデザインは、「スカンジナビアスタイル」として発展。
その後スチールを取り入れたモデルやロングセラーの「チャーチチェア」など現在まで続く個性的なモデルを発表し続けてきました。
名作チェアをご紹介
フリッツハンセンではロングセラー商品も多くありますが、約150年の企業の歴史から廃盤となったモデルも多数存在します。
ここでは名作と呼ばれるチェアをご紹介していきます。
フリッツハンセン社最初のモデル
引用 : https://fritzhansenimagecdn.azureedge.net/~/media/images/800×900/history_line/800x900_the-first-chair_fritz-hansen_1878_front-png.png?h=450&la=ja-JP&w=800
ファーストチェア
デザインbyフリッツ・ハンセン、1878年
1872年にコペンハーゲンで会社を立ち上げたフリッツハンセン氏が会社で使用していた椅子。
自社工房で製作されたシンプルなこの椅子は、フレームは木製で座面は革張り、当時では唯一の整形合板を使用した製品です。
彼は生涯この椅子を使用し、息子のクリスチャン・E・ハンセンが退社するまで約75年間愛用されていました。
国会議事堂で使用されたチェア
引用 : https://fritzhansenimagecdn.azureedge.net/~/media/images/800×900/history_line/800x900_the-danish-parliament-chair_thorvald-jrgensen_1918-png.png?h=450&la=ja-JP&w=800
デンマーク国会議事堂チェア
デザインbyトルヴァルト・ヨルゲンセン、1918年
フリッツハンセン社では、クラシカルなデザインチェアの製作も手掛けていました。
建築家トルヴァルト・ヨルゲンセンがデザインしフリッツハンセン社が製造したクラシックチェアは、クリスチャンボー城に移転した国会議事堂で1918年頃から使用されました。
曲げ木を使用したシンプルなチェア
引用 : https://fritzhansenimagecdn.azureedge.net/~/media/images/800×900/history_line/800x900_dan-chair_sren-hansen_1932-png.png?h=450&la=ja-JP&w=800
ダンチェア
デザインbyソーレン・ハンセン、1932年
スチームによる曲げ木を使用したシンプルなデザインのチェア。同じ頃製造されていたトーネット社の製法にインスパイアされてデザインされました。
フレームのみのシンプルな構造のデザインは、今見ても新鮮なイメージのチェアになります。ハンセン家の3代目ソーレン氏がデザインしたモデルになります。
ベストセラーの名作チェア
フリッツハンセン社では新技術を積極的に採用し、優れたデザイナーにより長く愛されるモデルを製作してきました。
ここではベストセラーの名作チェアをご紹介していきます。
教会で使用された椅子
引用 : https://fritzhansenimagecdn.azureedge.net/~/media/images/800×900/history_line/800x900_church-chair_kaare-klint_1936-png.png?h=450&la=ja-JP&w=800
チャーチチェア
デザインby コーア・クリント、1936年
コペンハーゲンにあるベツレヘム教会のためコーア・クリント氏がデザインしたチェア。
讃美歌の歌詞や帽子の収納場所がついたこの椅子は1936年から2004年の長期間に渡り製造されてきました。
フリッツハンセン社で最も長い期間製造されていたロングセラーモデルです。
3本脚のベストセラーチェア
アリンコチェア
デザインby アルネ・ヤコブセン、1952年
製薬会社の食堂用に製作されたこの椅子は、3本脚の画期的なデザインチェアとしてフリッツハンセン創業80周年の記念日に発表されました。
整形合板で曲げた独特のシェル形状だったため「アリンコ」と名付けられました。
当時3本脚のデザインは新鮮なイメージで迎えられましたが、座り心地や安全面に於いて懸念があったため、製品化を疑問視する声もありました。
しかし最後はデザイナーとの信頼関係をもとに製品化し、現在までベストセラーモデルとして製造されています。
デンマークを代表する名作チェア
セブンチェア
デザインbyアルネ・ヤコブセン、1955年
アリンコチェアの反響をもとにデザインされたセブンチェアは整形合板のシェル、スチールのベース・脚部など同じ素材構成となりますが、より使いやすいシルエットにアップデートされました。
また安定感を増すため4本脚＋アーム付きのデザインで設計されていましたが、アームなしの仕様が圧倒的な人気に。
フリッツハンセン社のベストセラー、セブンチェアはデンマークを代表するチェアとして現在も生産されています。
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ウェグナーデザインの元祖チェア
引用 : https://fritzhansenimagecdn.azureedge.net/~/media/images/800×900/history_line/800x900_chair_hans-j_wegner_1956-png.png?h=450&la=ja-JP&w=800
チェア
デザインby ハンス・J・ウェグナー、1956年
北欧モダン家具の主要なデザイナー、ハンス・J・ウェグナー。無垢材と整形合板で構成されたフレームにレザーを合わせたウェグナーの代表的なデザインです。
のちに量産向けにデザインされる椅子の原型となったチェアです。
まとめ
今回は北欧家具ブランド、フリッツハンセン社の名作チェアをご紹介しました。
フリッツハンセン社は1800年代の後半より現在まで北欧を代表する多くのチェアをデザイン、製造して来た事が分かりました。
また、蒸気による木を曲げる技術や整形合板など新たな技術を積極的に採用し、デザイナーとの協力のもと使いやすくデザインのよいチェアが生まれたことも理解できました。
ベストセラーチェアとして現在も人気のセブンチェアは、ミッドセンチュリー期のスカンジナビアスタイルを決定付ける印象深いデザインでしたね。
北欧モダン家具ブランド、フリッツハンセン社の家具をインテリアに是非取り入れてみて下さいね！
